内務省 -名門官庁はなぜ解体されたか

現在の警察庁総務省厚生労働省国土交通省を内包し巨大な官庁であった内務省を冷静な筆致で解き明かした本書。「地方行政の擁護者」「暗黒政治の総元締め」(本書内容紹介より)といった単純な善悪二元論でなく、その成立過程から解体までを簡潔に時に諸例を引き叙述している。内務省が時代に即して変革しながらも時に先見性のある施策を打ち出しすと思えば、巨大官庁であるが故の強引さを地方行政に対して行うなどの二面性をもっていることをどう説明したらいいのか。日本の官僚制に対する不思議さとあらたな疑問が湧いてくる。戦後の、そして近年の省庁再編のなかで肥大した(戦前よりも大きく精緻により広範囲に権力を得た)官僚機構を考えるにはもう一度冷静な分析が様々な角度から必要である。

内務省―名門官庁はなぜ解体されたか (PHP新書)

内務省―名門官庁はなぜ解体されたか (PHP新書)